報われなかったニャンコへの愛 ~猫は泳ぐか~

 このページは ニャンコ救出大作戦の続きです。 

宇宙の中で私の知っていることは、0.00000001%以下である。私の知識など砂浜の砂一粒ほどもない。知らないことが無限にあるのだから、どんな不思議なことが起こっても信じようと思えば信じられる。

なんと!あの北島のニャンコが「中島パフェ」掲示板に投稿してきたのだ。本人が北島のニャンコと名乗っていること。投稿にはニャンコ自身にしか知りえない事実が含まれていること。文字が猫色であること。以上の理由でニャンコ自身が投稿したものと私は信じた。

「北島のニャンコより、私たちを助けるという迷惑救出隊長に告ぐ!  


(中島公園菖蒲池の北側にある北島。 画像提供は札幌の平川さん)

XX市XX公園に捨てられた私たちは、菖蒲池の北島に生活の場を見付けた。北国の厳しい冬を越せたのも、島の大木の洞と餌になるドブネズミのお陰だ。最近は猫好きのおばちゃん達の食料の支援も受けて、快適とはいえないけれど、なんとか子猫を産み育てるようにもなった。

ところが、ニャンコ救出隊という有難迷惑な人間たちが現われて、我々を北島から追い出す行動に出ている。我々にとって北島は苦心して見付けた生活の場である。人間が我々を飼うなどの、生活保障なしに、救出などという追い出し行動をしないでほしい。

我々は泳ぎは好きではないけれど、泳げないわけではない。北島を脱出したければ、子猫も大きくなった事だし、いつでも実行出来る。最近は対岸から餌を投げ込んでくれる人もいて、北島には餌を包むビニール袋が散乱してゴミの島みたいになっている。

捨てられた我々は、静かに細々と暮らしている。憐れんで支援してくれる気持ちはうれしいが、これ以上騒ぎ立てて暮らしにくくして欲しくないものだ。そのうちに行政が我々を捕獲しに来るかも知れない。恐怖さえ感じるようになってしまった」


図太そうだ。北島のニャンコかもしれない。画像提供は札幌の平川さん

猫が掲示板に書き込める筈はない。これが常識と言うものだ。しかし、不可能と検証された訳でもない。私はニャンコを信じることにした。もし私自身の身体が宇宙なら、胃袋は一つの世界ではないか。ハイテクを駆使すれば、その世界は外からでもコントロールできる。

例えば、胃検診は、内視鏡で行われ、お医者さんは外側でモニターを見ているだけなのに、内視鏡をコントロールして手術までしてしまう。もし私の胃袋が一つの世界なら、脳は遥か彼方の宇宙の果てにある。掲示板に投稿した猫も宇宙の果てからアクセスしてきたに違いない。 

そう思うと私は、すっかり猫に感化されて、愛すべきニャンコ助け隊長と対立することになってしまった。 浮世の義理も宇宙からの指令には敵わない。


影響を受けてニャンコの気持ちになってしまった私は、ニャンコ助け隊長の考えに悉く反発してしまう。そんなことしたくないのに、何故かしてしまう。

「氷が融けたので島から出られなくなったんだ。可愛そうだな~」
「あなた方が鬱陶しいので島に逃げ込んだのですよ」
思わず口から出てしまう。ニャンコの書き込みで洗脳されたのだろうか。

「あんな小さな島では食べるものも無いし、餓死するかも~」
「好物のドブネズミも居るし、食料支援も受けてます。ニャンコ助け隊の出る幕はありません」
ああ、どうしよう。すっかりニャンコの代弁者になっている。

「まだ寒いから、ダンボールも要るよね」
「要りません!ホラ、大木の洞で充分です。見て下さい。ホラホラ」

悲しみのせいか隊長の顔が歪む。”私しゃニャンコのにゃんなのさ”と力無くつぶやく。 涙がホロリ。何で私は、こんなにしつっこい意地悪になれるのだろう。 
穏やかでいい人と言われていたのに……。 

「島から助け出さないと死んじゃうよ~」
隊長はシクシク泣き出した。
「まだ分からないのですか、貴方は生活の場を奪おうとしているのです」
すっかり、ニャンコになって隊長を苛めている。隊長がかわいそ~。
「直ぐに島から出して上げないと大変だ」
と隊長は気を取り直してキッパリ!
「私たちの生活を保障してくれなければ出ません!」
私はニャンコそのものになっている。それにしても小ざかしい猫だ。

生活保障を要求されて隊長はオロオロしだした。遊ぶ金がないから一時の憩いを求めて公園に通っているのだ。猫は隊長の一番弱いところを突いて来た。こんな猫は大嫌いだ。

「餌だけは…、投げて…やらないとね…」
隊長は無い力を振り絞ってやっとの思いで、つぶやくように言った。
「レジ袋が散乱して、ゴミの島になるからヤメロ。 迷惑千万だ!」

これは断じて私が言っているのではない。ニャンコに言わされているのだ。なぜ私の口を使うのだ。ニャンコよ自分で喋れ! もやは隊長の言葉はない。止めを刺された隊長は小さくなって肩を震わしている。隊長の愛はニャンコに届かなかった。なんという薄情な猫だろう。

猫が泳げれば救出の必要などないのだから、問題の本質は猫が泳げるかどうかだ。さて、猫は泳げるか、泳げないか。ドッチがホント!


早いものであれから1年もたった。小雨降る夏の日の午後、山内壮夫作の彫刻「猫とハーモニカ」の前でパンの笛コンサートが開かれた。パンの笛は世界最古の楽器。そして、この像はギリシャ神話の「牧神パンの笛」との説もある。コンサートの帰りがけに見知らぬ男から声をかけられた。

「中島パフェのnakapaさんですね」
肯くと隠れるようにして封書を渡された。
「なぜnakapaと分かったのですか?」
「私達の仲間はお互いに分かるように頭に大きな印を付けているのです」

印とは何だろう? 私はそんなものを付けていないし、帽子を被った男の頭など見えるわけがない。この男はいったい何者だろう? 名前を聞くと、封書を指差した。そこには「月よりの使者」と書いてある。
「中身はなんですか?」
「貴方がとても欲しがっていたものですよ。私はこれで失礼します」

別れの挨拶のつもりか、帽子を脱いで深々と頭を下げた。あれっ! 頭がお月様みたいにマン丸だ!! ともかく封書を開けて見てみよう。おやっ? これこそ私が欲しがっていた証拠写真、泳ぐ猫ではないか!

泳ぐ猫


凄い! 泳いでいる。(以下、3枚の画像提供はCitySapporoさん)


あれっ? 誰かいる。 


なるほど。泳ぎたいときは泳ぐのだ。北島のニャンコの言った通りだ。

掲示板に投稿した「北島のニャンコ」が「月よりの使者」とは、本当かな? 証拠写真の出現でドッチがホントの答えは明らかになった。しかし、新たな疑問が生じた。一体あの男は何者?

ただの冗談好き。それとも宇宙人? さて、ドッチがホント!


画像提供は札幌の平川さん

続きはこちらをクリック! → 3.実録!猫は泳ぐ人も泳ぐ


チュンチュン ♪中島公園スズメの声♪ チュンチュン

チュンBさん:猫の気持ちおもしろい。我輩は猫であるの2弾めですね。
nakapa:名前はまだ無い。どこで生れたかとんと 見当がつかぬ。

チュンPさん:オチが面白いね~。月がまん丸、輝いていたんだね~。
nakapa:私達は否。皆様はハンディに負けないで明るく生きています。

チュンCさん:ウ~ン唸りますなぁ~~。 内視鏡まで出て来ますか…。
nakapa:胃袋の中は別世界。でも外から制御できます。そこが味噌。

チュンLさん:・字は書けなくても目で訴える・・・成る程成る程。
nakapa:目は心の鏡。ウソかホントか直ぐ分かる。

チュンDさん:ネコの司令塔、信じます。毎夜、全国で猫会議を開くのだって、総司令官からの指令によるものです。
nakapa:指令でもって毎晩飲んで騒いで猫会議。ご苦労様です。

チュンEさん:ネコがしゃべれたらなんというでしょうか。  
動物と人の関係は難しいですね。
nakapa:北島のニャンコの「掲示板書き込み」を読みましたが、声は聞いたことないです。喋るときはやはり、ニャ~ンではないでしょうか。

チュンMさん:人間が、きっとよかれと思ってやっていることが、動物に とって迷惑なこと、たくさんあるのでしょうね。
nakapa:あるでしょう。人間同士でも有難迷惑とかありますから。

チュンFさん:猫の気持ちと人間の救出作戦と噛み合わないかもね。猫ちゃん可愛そうだけど,どっちが幸せか? 分かりませ~ん(@^^)/~~~
nakapa:「北島のニャンコ」さんは人様のお節介は迷惑だそうですよ。

チュンAさん:ニャンコの気持ちが分らないからか 今回は、ペンが滑らかに動きません。不景気のせいか、クロネコヤマトもご無沙汰です。
nakapa:ペンが滑らなくても口さえ滑らさなければ大丈夫です。クロネコヤマトを当てにしないで自活しましょう。ニャンコに笑われますよ。

チュンJさん:ノン・フィクションでしょうか?
nakapa: これがノン・フィクションなら、落ち着いて暮らせません。

チュンNさん:まん丸の「月よりの使者」さんは、ハゲちゃんですか。
nakapa:肯定も否定もしません。それは言わないルールです。

チュンGさん:人の手を借りたいほど猫は困ってないという訳ですね。
nakapa:北島のニャンコはそう言ってますが現実はどうなんでしょう?

チュンOさん:大騒ぎしてニュースでとりあげられ人気者になったラッコのクーちゃんや、どこかの島や崖に取り残されたワンちゃんなど同様な例があります。となると、マスコミを利用しない手はありませんね。
nakapa:マスコミは利用できるんですか? 使用料教えて下さい。二千円以下なら利用したいと思います。

チュンQさん:それにしても「生活保障とセットでなければ島を出ない」だなんて、随分打算的なニャンコですね。
nakapa:ニャンコが出さん的なら出さないで島に閉じ込めよう。

チュンHさん:掲示板に行ってきました! なかぱさんのHPから地に足がついた意見がくる(しかもユーモアの衣)の、すごいですねー。
nakapa:凄いのはニャンコ。掲示板に投稿するとはまさに神業。マスコミが取材に来てもいい筈ですが来ません。信憑性に疑問符。

チュンRさん:どうぞ、この夏に脂肪を蓄えて来るべき冬を乗り越えてくれますように。 なんか…中島公園に野生復活の気配です。
nakapa:熊と猪は来園禁止にすべきです。パンダ大歓迎!

チュンIさん:ノラネコは人間に「救出」などしてもらいたくないのかもしれませんね。 けっこう逞しく生きる術を心得ていますから…。
nakapa:お節介な人は嫌いですが、餌は好きなようですね。

チュンUさん:救出なんか余計なお節介です。人智の及ばないような知恵で生き抜いていくのではないでしょうか
nakapa:何でも 擬人化して考えるのが人間の悪い癖です。

チュンKさん:論点の「整理・対立点」を 読んでいますと、 与党、野党の、言い分とすごく似ていて、 ふきだしそうになりましたよ。
nakapa:笑いながら書いています。書くのは自分の楽しみですね。

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(コンサートホールに近い芝生の広場。画像提供は札幌の平川さん)

2012年1月18日更新

中島公園動物小説

3.実録!猫は泳ぐ人も泳ぐ
2.報われなかったニャンコへの愛
1.ニャンコ救出大作戦

中島公園風景(画像提供 平川さん)


秋の中島公園


山内壮夫の彫刻「猫とハーモニカ」


「札幌彫刻美術館友の会」主催の清掃

懐かしい写真(札幌市公文書館所蔵)


1982年5月3日子供の国(キタラの場所)


皆でゴミ拾い 彫刻は「笛を吹く少女」


今は無き百花園の「猫とハーモニカ」


以下、余白





 
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