中島パフェ中島公園の動物<中島公園のキツネ

 「中島パフェ」への投稿文に管理人nakapaが画像を挿入。

キタラのキツネ 画像提供EA氏

 人口190万人余の国際文化都市サッポロの都心部に近い中島公園にキツネが住んでいるらしい。園内をうろつくキツネの写真が公開されているので化かされているわけではない。

 今夏も藻岩山麓のヒグマ出没のニュースが世間を騒がせ、南区の芸術の森野外美術館では臨時閉館の憂き目を見ている。
ヒグマは人を襲う凶暴な猛獣のイメージが強いため、住民はヒグマに過剰なほどの警戒心を抱いている。

 これに比べて同じ野生動物でありながら小柄なキツネは敏捷で愛くるしく、特にテレビで見るキツネ家族の姿は健気で人情に迫るところがある。 このため街なかの公園に生息する野生のキツネに好意的な市民も多い。

しかしこのキツネがヒトの重篤な寄生虫病「包虫症:エキノコックス症」を人間社会にもたらしてヒグマ以上の脅威を与えるとなると話は別である。本道のキツネ(アカギツネ)で重篤型の多包条虫保有率が50%にも達しているからである。

 ヒトが感染キツネから排出された虫卵を経口的に摂取すると小腸で虫卵が孵化して幼虫になり、さらに肝臓に侵入して沢山の嚢胞を作る。一般に感染後10年以上経過してから発病し、悪性の肝臓腫瘍のような症状を示して治療困難となる場合が多い。

 自然界におけるヒトを含む哺乳類と多包条虫との間の感染環はかなり複雑である。多包虫症では終宿主のキツネと中間宿主のエゾヤチネズミの間で感染環(生活環)が維持されている。

キツネなどのイヌ科の動物は虫卵を経口的に直接摂取しても感染しない。しかしヒトやヤチネズミでは虫卵が小腸で孵化して幼虫になった後、主に肝臓に寄生して沢山の嚢包を作るが、成虫にまで成長しないので産卵しない。

イヌ科の動物が保虫ネズミを捕食した場合、沢山の幼虫がキツネやイヌなどの腸管で成熟して成虫となり、大量の虫卵が糞便とともに体外に排出される。それでイヌ科の動物は終宿主、そしてヒトやヤチネズミなどは中間宿主と呼ばれる。ヒトは中間宿主ではあるが、終宿主のキツネやイヌに食べられる可能性が極めて低いのでヒトやイヌへの感染源とはならない。

 ここでの問題点はまず公園内のキツネにエキノコックスが保有されているかどうかである。道内のキツネは主にヤチネズミなどのハタネズミ類を捕食して感染環を形成している。

しかし仮に園内のキツネが保虫していても、中間宿主の野ネズミが生活圏内にいなければ終宿主のイヌやネコなどにも感染環は形成されない。

このため公園内では
①キツネの捕獲・駆除 
②イヌとネコの糞便の管理と虫卵検査
③キツネ、イヌ、ネコに駆虫薬入り餌の投与 
④中間宿主になりうる野ねずみの生息調査の4点を至急実施する必要がある。
多包虫症によるヒトの症状が感染して10年20年後に現われるにしても最終被害の程度はヒグマよりはるかに高率である。このため少なくとも行政側は園内でキツネの生息を確認した時点で直ちにヒグマ同様の緊急危機対策を取り、市民に広く注意を促すとともに徹底的な安全対策を実施する必要がある。

 都市における野生キツネの生息は公衆衛生上の重大な脅威なばかりでなく、ホテルなどの観光業や文化事業に風評被害をもたらしかねないものである。
 同様な自然環境下にある全市の公園などでキツネ駆除対策を強化し、できるだけ早く安全宣言を表明するよう市の担当部署に要請したい。n

(文章は、管理人nakapaが信頼する方による投稿。2012年11月7日)

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